指揮者として生きる
「人生の羅針盤」
指揮者とはとても奇妙な職業で、音楽家を名乗っているにもかかわらず自らは音を出しません。オーケストラの奏者が演奏してくださらない限り、ただ舞台上でパントマイムをしているだけの変な奴。つまり目の前の奏者からいかに良い演奏を引き出すか、ということが仕事の肝になるわけです。そのためには、奏者が迷わず音楽を作れるよう、演奏する作品・作曲家に対して「今回はこういう演奏をする!」と確信を持てるまでいかに勉強や研究を重ねるか、同時に奏者が気持ちよく音を出せる自由をいかに生み出すか、という一見相反する二つを一生修行していかなければならない。作品や作曲家へのService、奏者へのService、そしてなによりそれを聴いてくださるお客さまへのServiceのために、生涯かけてMasteryすることが指揮者の人生のように思います。
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